御神酒とミキ

神道の伝統文化であり、その一つに挙げられるのが御神酒
見える世界(ミ)と見えない世界(キ)の架け橋であるミキ

神様への奉納品の一つ「御神酒」

御神酒とは何か


神様には必ず「御食」(米)→「御神酒」(酒)→「塩」の順番でお供えする、という神道の伝統文化があり、その一つに挙げられるのが御神酒だ。日本全土の神社や家庭の祭壇などで神様に捧げられるお酒のことであり、神道の儀式や行事に欠かせない存在である。

御神酒は、清酒であり(一般的には清酒であるが、どぶろくやにごり酒などを奉納する文化があるところもある)、稲作から始まり、米の保存方法の一つとして酒造りが進化した平安時代以降に特に広まったと言われている。

神様にお供えた後、参列者が御神酒を飲む「直会(なおらい)」で神様と人との繋がりを深める象徴としても用いられるのだ。

御神酒の元となる
「日本酒」

日本の伝統文化の一つとして挙げられる「日本酒」は、稲作と同様に「水」が最も重要な要素である。

日本酒造りにおいて極めて重要な要素である水は、精米時や米を研ぐ際に使用する水、蔵出しの際に使用する仕込み水、発酵時に使用する水など、あらゆる工程で水が欠かせない。


酒蔵が水の美しい川の麓に位置している理由も、水の存在が前提となっているためなのだ。

また、稲作にも人間が生きる上でも、水が重要であることから、人類の文化発展には「水の存在」が必要不可欠であり、雨水を自然に濾過して水を生み出す「山の存在」が欠かせないことも古来から続く「山岳信仰」があるのも納得である。

山の恵みによって生み出された「水」が人類や文明を栄えさせ、綺麗な水があるところに人が集まり発展してきた歴史があるからこそ、日本酒(御神酒)はその結晶とも言える存在である。

すべての条件が整って初めて生み出される日本酒は、日本人の繊細な感性が形となったものであり、神様へお供え物の一つであることは、自然への敬意の表れなのだ。

ミキとは何か

ミキとは、沖縄諸島や奄美大島に伝わる伝統的な発酵飲料である。

ミキは古代より日本人が触れてきたものであり、神聖な意味を持つ御神酒(おみき)に由来しており、奄美諸島では、神事や祭事の際に「ノロ」と呼ばれる女性神職が作る特別なものである。


ミキの文化的意義

ミキは「見える世界(ミ)」と「見えない世界(キ)」を繋ぐ存在とされており、古代文字カタカムナの解釈によれば、「ミ」は実や実相を表し、「キ」は氣やエネルギーを象徴する。

ゆえに、ミキは「現実世界と精神世界の架け橋としての役割を果たす」とされるとも言われている。

また、2024年11月から冥王星が水瓶座入りしたことから「風の時代」と呼ばれる女性性が重視される時代に突入しており、ミキを作ることには特別な意義がある。

ミキの材料である米とさつま芋「女性性」を象徴し、発酵させる際に活用する糀(こうじ)は「男性性」を象徴すると考えられるため、ミキを作る行為そのものが「陰陽バランスを整える」ともいえるのである。


ミキの特性と効能

  • 発酵食品としての古代性
    ミキは、糀(こうじ)が現れるはるか以前から存在している発酵食品であるため、非常に深い歴史を持つ
  • 腸内環境の改善
    • ミキには、1ccあたり1億個以上の乳酸菌が含まれており、発酵が進むほどその効果が増大する。
    • 便秘の改善に非常に効果的であり、食事代わりや病人の回復食、赤ちゃんの離乳食としても重宝されてきた。
    • 母乳の出を良くし、授乳中の母親にも適している。
  • 健康への影響
    • 血糖値を上げにくい食品であり、糖尿病の方でも安心して摂取できる。
    • 消化に負担をかけず、栄養補給が容易である。
  • 味の変化
    • ヨーグルトのような風味を持ち、発酵が進むにつれて甘さから酸味へと変化する。
  • 材料
    • 奄美では米とさつま芋を使用するが、沖縄では麦が使われる。
  • 神聖な意味合い
    • 文化によって、神様に捧げる御神酒としてミキを活用する地域もあり、本来の素材を活かして酸味を大切にされていた。
  • 手軽さ
    • 甘酒のような温度管理が不要であり、誰でも家庭で作ることができる。

御神酒とミキ

神様への奉納品として、古来より大切にされてきた「御神酒」や御神酒から発展して文化として受け継がれてきたミキは、健康だけでなく、日本人の精神文化や神聖な儀式とも深く結びついたものである。

その効能は、腸内環境の改善から精神的な調和に至るまで幅広く、誰がどのような想いで作るかによっても味わいが変わる奥深さがあり、ミキを現代の生活に取り入れることで、健康と伝統文化の双方を体現する一助になると考える。