朝日(旭)
明治時代の伝統品種
西の横綱「朝日(旭)」
日本の米の歴史に輝く『朝日米』
その起源は、明治41年、京都の農家・山本新次郎が「日ノ出」と名付けた品種から派生した。しかし、重複する名前があり、正式には京都旭とも言われる「旭」に改名され、大正時代には岡山県が品種改良を試み「朝日」として誕生。
この米は、コシヒカリやササニシキの祖先として栽培され、岡山や熊本の情熱的な篤農家たちによって守り続けられている原種に近い品種だ。
1925年、岡山県の奨励品種として認定され、一時は関西で寿司米として絶大な評価を受けた。しかし、栽培上の難しさから1960年代に急速に衰退。背が高く倒れやすく、収穫時の脱粒が課題となり、機械化の波に押し流されてしまった。
高アミロース含有
それでも、『朝日米』は再び注目を浴び始めた。玄米は5.1ミリ×2.9ミリの美しいフォルムで、アミロース含有量23.1%という特異な特性を持ち、食味は格別。大きな粒は酒米としても活躍し、その幅広い利用範囲に期待が寄せられている。
コシヒカリのアミロース含有量は15%前後であり、アミロースは、硬質感と歯ごたえの向上などのご飯が冷めても硬くなりにくい性質を持っており、ご飯の粘り気を抑える働きもある。
またアミロースが豊富なお米は、食事を摂った後の血糖値の急激な上昇を抑制する傾向があり、水に溶けにくく、消化吸収がゆっくりと行われるため、食後の満腹感を持続させる効果があるのである。
明治時代の米と言えば「朝日」
さらに、食文化の変化に寄り添いながら、『朝日米』は昔ながらの日本の味わいを提供。硬質でありながらも、適度な粘りと歯ごたえが魅力で、かつての飛脚のような超人的な体力を支えたとされるお米である。
日本の伝統的な食文化を知る上で欠かせない『朝日米』。興味を抱いた方は、その熱い歴史と優れた食味を追求する旅に出かけ、岡山県の農家の情熱が込められたこの米を味わってみてください。